高知ユナイテッドSCのスポンサー募集成功事例から学ぶ

高知ユナイテッドSCのスポンサー募集成功事例から学ぶ

本日、調べ物をしている中で面白いものを見つけました。

2017年度:マネジメント学部 学資論文 高知工科大学附属情報図書館

http://www.kochi-tech.ac.jp/library/ron/2017/14/201714.html

この中に

「 地域スポーツクラブにおける スポンサー獲得のメカニズム ―高知ユナイテッド SC の事例― 」

という論文があり、興味深いのでご紹介したいと思います。

カンタンに言ってしまえば、J1まではまだまだかかる地元サッカーチームが

いかにしてスポンサーを獲得したのかという話がまとめられており、

それが、他のスポンサー募集中アスリートの方にも役立つものでした。

宣伝効果の少ない高知県のスポーツチーム

一部の地域を除いて、日本は少子高齢化、人口減の状況です。

高知ユナイテッドSCがある高知県もこの問題を抱えており、

なおかつ若者が県外流出をするので官民一体で対策中だとか。

現状、ランキングも低いので決して全国区で名前が出ることは少なく、

単純に「多くの方が見る」という広告効果が望めない状況とのことです。

ここまで見る限り、どこにでもある状況ではないでしょうか。

このような状況でいかにスポンサー企業を見つけたのか、

またスポンサーメリットは何かという点で学べる部分があったので、

ポイントのみご紹介していきます。

なお、論文自体はA4で4ページ半ですから、

是非一度全体を読んでみてください。

ポイント①:戦略的なスポンサーアプローチ

一つ目のポイントは戦略的に行われたスポンサーアプローチでした。

一般的には身近な方からはじまり、地元の企業だったり業界の企業、

そして上場企業へとアプローチをしていくことでしょう。

高知ユナイテッドSCの場合はもう一捻りされておりました。

まず都市圏において活動する企業の中から、

高知県出身の社長や高知県に由来のある企業にしぼり、

高知県人会を通じて営業を行ったようです。

渋野日向子選手のスポンサーであるミック工業さんは

本社が大阪にあり工場が支部の選手の地元である岡山にあります。

社長と地域に関係がなくも、工場があるなどもポイントになる例ですね。

社長と知り合う、紹介してもらうなどの縁も重要ですが、

こういった地域などを通じた縁も重要であるということです。

また、次にご紹介するポイント②も関連しています。

ポイント②:将来性と地域貢献

2つ目のポイントは将来性と地域貢献です。

高知ユナイテッドSCの目標はJリーグ、しかもトップのJ1です。

現在、高知県にはプロスポーツチームが存在しないということで、

「高知県初のプロスポーツチーム」を目標にしているようです。

ここで比較対象として野球の高知ファイティングドッグスが出てきます。

こちらも「プロ野球チーム」を目指すかと言うと、少し違うようで、

あくまでこちらは選手の育成がメインになっているようです。

高知ユナイテッドSCは日本のトップリーグを目指しており、

なおかつ「高知県初」を目指している状態です。

高知ファイティングドッグスは日本一の選手を生み出すかもしれませんが、

チームとしては日本のトップリーグを目指すことはなく、

また「高知県初のプロスポーツチーム」になる目標もありません。

この差により高知ユナイテッドSCには

「高知県初のプロスポーツチームを作りたい!」って方が集まりますし、

一緒に「Jリーグを目指そう!」っていう夢を見ることができるんですね。

論文にもありますが、チームが強くなるほどメディア露出も増えていきます。

個人のアスリートの方ですと「競技を続けたいだけ」なんて

ケースも稀にありますが、この場合はスポンサー対象企業が大幅に減ります。

SNSなどを駆使すれば決してスポンサー獲得が無理ではありませんが、

やはり「選手・チームとともに自社の名前を広めたい」とか

「一緒に成長して、大きな目標を達成したい」という企業は離れます。

資料作成の際には「最終目標を入れましょう」といいますが、

今回の高知ユナイテッドSCと高知ファイティングドッグスを見ても、

最終目標を入れること、また頂点を目指すことの重要性がわかることでしょう。

なお、論文には高知ユナイテッドSCがJリーグに行けるのは

まだまだ先であることが書かれおり、それは事実です。

しかしながら、現状多くのスポンサー企業が付いているのを考えると、

決して「今の結果」だけでスポンサーが付くわけではないのがわかります。

ポイント③:高知ユナイテッドSCを通じて高知を元気に

3つ目のポイントは高知ユナイテッドSCを応援し

Jリーグへ行く、高知県初のプロスポーツチームを作ることで、

「高知県を元気にする」というアプローチをしていることです。

正直、他にも方法はあるでしょう。

しかし高知ユナイテッドSCが活躍することで、

地元が活性化するというのは一理ありますし、

企業も「高知ユナイテッドSCを通じて高知県を元気に」と

考えていることでスポンサー活動の継続が可能と言えます。

今回は地域ですが、これは他でも使えると思われます。

例えば「女性」というグループにしてしまえば、

モータースポーツではWシリーズというものが行われています。

他にも「高齢者」というくくりだってありますし、業界でもいいでしょう。

市内にしたり、同じ学校出身でも良いかも知れません。

また、これはもう少し規模を小さくすることも可能でしょう。

例えばモータースポーツの場合、ワンメイクレースといって単一車種で

イベントが開催されている車両と、そうでないライバル車両があります。

ワンメイクレースがある車両をA、ない車両をBとして…

「私はBを使いタイムアタックでクラス日本一となり、

Bの性能をもっと多くの方に知っていただきたいです!

ワンメイクレースでA車が話題ですが、

速いのはBだって事を証明したいんです。

といえばBを作るメーカーは少なからず嫌な気はしませんし、

販売するディーラーや、チューニングパーツを出すショップも

単純な宣伝効果を謳うより効果的であると考えます。

他にも第三者機関が作成したユーザーアンケートなどを元に

「私が大好きな◯◯が5位なのは納得できないので…

私が結果を出し、宣伝し1位にします!」とかもいけるでしょう。

これは期間を区切るなど詳細部分も重要なのでまた別の機会に。

ポイント④:夢に向かって歩んでいるのがわかる

4つ目のポイントは夢に向かって歩んでいるのがわかる、

要は「Jリーグに向けて一歩ずつ前進している」ことです。

論文にもありますし、先にも記載したとおりJリーグはだいぶ先です。

正直、高知ユナイテッドSCがJリーグにいくかまだわかりません。

ただ、現在は地域リーグに所属しており上にはJFLがあり、

J3、J2…そしてJ1があるというのが見えています。

地域リーグで優勝しJFLへ昇格を目指している中で、

2017年にはリーグ戦を無敗で勝ち進んでいるようです。

その後、JFLとの入れ替え戦で脱落したようですが…

毎年の進化や、毎戦毎の成長が確認できるのもポイントでしょう。

例えばですがスポンサー向け資料に

「日本一を目指します!」と宣言してあるとしましょう。

過去3年間、ずっと変わらず地方予選敗退の選手と、

3年前は地方予選敗退ながら、今年は遂に地方戦で

TOP10に入っているとしたらどうでしょうか?

後者に関しては「日本一になるかも!?」と期待されますし、

やはり「頑張ってるんだな」ってのがよく伝わります。

もちろん結果を出すのは大変なことである一方、

「勝てなくて仕方ない、成長しなくて当たり前」では、

結果としてスポンサーも「お金出さなくて当たり前」です。

逆に高知ユナイテッドSCのように宣言した目標に向かっているのがわかれば、

「夢にかけてみよう」とか「一緒に目標達成しよう」という方が現れます。

また、個人的な経験ですが以前に資料を出し契約に至らなかった方にも

「遂に全国大会出たんで、またお話させてください!」といえば

もしかすると「頑張ってるから応援してもいいか」となる場合もあります。

中小企業の場合、どうしても売上などに広告費が左右されやすいですし、

今年だめでも来年なら余裕があるってこともよくあります。

一度NGをもらったらか「さようなら」は非常にもったいないので、

結果が出次第で「ご報告」ぐらいはしても良いと思います。

高知ユナイテッドSCと高知ファイティングドッグスのスポンサー

最後に、高知ユナイテッドSCと高知ファイティングドッグスの

スポンサーを見てみたいと思います。

高知ユナイテッドSCのスポンサー

高知ユナイテッドSCのパートナーページ

・メインパートナー:5社

・リンクパートナー:27社

・オフィシャルパートナー:46社

・法人パートナーゴールド:30社

・法人パートナーシルバー:47社

・法人パートナーブロンズ:45社

高知ファイティングドッグスのスポンサー

高知ファイティングドッグスオフィシャルパートナーのページ

オフィシャルパートナー:177社

なお、高知銀行や四国銀行、高知高須病院のように

重複したスポンサーも複数存在しています。

また注目すべきは自治体や公益財団法人、都道府県や市区町村、

更には有名企業の支社単位で記載があることでしょう。

戦略的に考えると「地域」の協賛を頂くだけでも、

その名前をWEBやSNS、スポンサー向け資料に記載出来ますし、

そのことにより信頼性をアップさせることも可能です。

一方で、地域から「有名人」が出たらそれは誇らしいですし、

地方創生で「地域の特徴」が求められているのも事実。

例えばですが「海のきれいな町」は日本中にありますが、

「日本一のダイバーを生み出した海のある街」は稀でしょう。

私が得意なのでモータースポーツに偏りますが、

「日本一の〇〇を生み出したサーキット!」という宣伝があれば、

少なからず地域での優位性も出る事が考えられるので、

例えばカート場やサーキットとの契約も可能性がありますし、

ゴルフやサッカーなど「練習場」があればこの展開はできるでしょう。

他人や他チームの企画、スポンサー企業を見ていると、

このような事が見えてくるので非常に面白いと思います。

最後に要点をおさらい

記事が長くなり、話もあれこれ広がったので

最後に要点をまとめておきたいと思います。

1:営業活動は戦略的に!

地域の企業はもちろん、都市圏にありながらも地域に由来がある会社、

社長が関係している会社へ県人会なども利用しアプローチ。

2:将来性をアピールする!

自分だけでなく相手ももワクワクするような目標を見せる。

高知ユナイテッドSCなら「高知県初のプロスポーツチーム」

3:チームを通じて地域貢献

地域貢献をしたいならチームを介して…とアピールすることで、

単なる広告ではなく、地域貢献を考える企業もスポンサーに。

4:成長がわかるよう伝える

大きな目標まで遠いなら、足元の小さな成長をしっかり伝える。

成長を見てもらい「目標に近づいている」を実感してもらう。

なんか、長々書かなくてよかったんじゃないかと

思ってきてますが…細かな説明や例もありますからね。

以上、高知ユナイテッドSCのスポンサー募集成功事例から学ぶ、でした。

みなさんのスポンサー募集がうまく行って、

一人でも多くの方が活躍されるよう祈っております。

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